第1章 絶対音感とは何か:絶対音感の概念をめぐる神話
• 「絶対音感」という言葉を吟味する:「絶対」神話と「完全」神話 • 絶対音感を定義する
• 絶対音感を測る際の問題
• 真性絶対音感と仮性絶対音感
• 反応の速さ
• 答の正確さ
• 絶対音感の下限
• 能動的絶対音感
• 絶対音感test
• 絶対音感を持つ人は耳がよいという神話
• 絶対音感がある人の聴覚世界:音がみなdo re miに聞こえる?
• 潜在的絶対音感
第2章 音楽的pitch:音楽を構成する基本要素
• 物理現象としての音と聞こえとしての音
• pitchの性質
• 音階のpitch
• pitchのふたつの側面：pitch heightとpitch class • pitchらせん
• 絶対音高と相対音高 • pitch輪郭と音程
• 音階と調性
• 和声感・調性感
• なぜ相対音感があるのか
第3章 絶対音感の事実:実験からあきらかになったこと
• 絶対音感の正確さとerror・pattern• 音色と音域による違い
• pitch-classによる違い
• 反応時間
• 半音よりも小さなpitchの違い • pitch categoryの知覚
• 処理の自動化
• Pitchと音高名の相互作用
• Stroop効果
• 聴覚的Stroop効果
• 聴覚的逆Stroop効果
第4章 絶対音感を持つ人はどのくらいいるのか
• 稀少なものは価値がある
• 「10,000人に1人」神話:バッチェムの研究
• バッチェムの研究の問題点
• 「1,500人に1人」神話
• 音楽家の中での絶対音感の割合
• バッチエムの推定値
• サージェントの推定値
• 遺伝学者の推定値
• 絶対音感は東アジア系に多い?
• Deutschの調査:絶対音感の声調言語起源神話
• 日本の音楽学生における絶対音感
• 絶対音感の国際比較:上海音楽学院学生の絶対音感
• 絶対音感の国際比較:Chopin音楽大学学生の絶対音感
第5章 絶対音感は音楽をする上で役に立つか:〈絶対音感=音楽的才能〉という 神話
• 音楽的literacyの認知model
• 曲を聴いて楽譜に書くまでの過程
• 楽譜に書く
• 絶対音感は曲を楽譜に書くツールとして役に立つ
• 聴音test
• 聴音testで何を見るのか:聴音testの神話
• 聴音testの妥当性
• 曲のimageを楽譜にする
• 楽譜から音楽を読み取る
• 楽譜を見てすぐにmelodyを正しく歌う:初見視唱 • 絶対音感を持つ音楽家が語ったこと
第6章 絶対音感を持つ音楽家:Mozartの絶対音感の神話
• シャハトナーのviolinの神話
• ヴァチカンのモーツァルト:ミゼレーレの神話 • すでに3点は存在していた楽譜
• 幼いMozartの絶対音感の神話
• Mozartが真の天才だった証拠
第7章 絶対音感を持つ人の相対音感
• 絶対音感は音楽的に価値があると言えるか?
• 音程識別の実験1
• 絶対音感を持つ人の相対音感はなぜ不正確だったか • 音程識別の実験2
• 絶対音感保有者は音痴?
• Melodyを聴き比べる
• 絶対音感保有者のmelody識別能力
• 楽譜を見ながらmelodyを聴く
• 絶対音感保有者の工夫
• Polandの音楽学生に行った実験
• 相対音感の国際比較
• 日本の音楽学生はなぜ相対音感が弱いのか
第8章 絶対音感はどのように生じるのか:遺伝と経験をめぐる神話
• 遺伝と経験の役割
• おとなは絶対音感を身につけることができるか • マイヤーの絶対音感訓練
• いくらかの訓練効果はある
• カッディの研究:訓練法の比較
• ブレイディの挑戦:唯一の成功例?
• 絶対音感教材「バージ法」:本当に効果があるか • placebo効果
• おとなは絶対音感を獲得できない
• こどもは絶対音感を獲得できるか
• 初期学習説
• こどもたちの絶対音感獲得過程
• 結論に飛びつく前に...
• yamahaの音楽教育system
• 江口式絶対音感program
• 臨界期とは何か
• 絶対音感の臨界期仮説
• 絶対音感が学習できなくなるのはなぜか
• 絶対音感の遺伝的背景:家族を調べる
• 双生児を調べる
• 絶対音感遺伝子はあるか
• 絶対音感が進化する理由があるか
おわりに
巻末注・引用文献